ビジネスにおいて「ターゲット」を決めること、つまり「誰に売るか」を決めることは成功と失敗の分岐点となる超重要性な要素です。
誰に売るのかというのは、マーケティング活動の一環として扱われがちですが、ターゲットがずれてしまうことで売れるはずだった商品も売れなくなってしまうことはよくある話です。
世界的なマーケターでもあるフィリップ・コトラーが提唱する「STP分析」の中にもターゲットがあるように「誰に売るか」は外せないポイントです。
セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング の3つの略称で構成されたマーケティングの分析手法の1つ。
本記事では前半でターゲットの重要性について、後半で3つの手順で紹介していきます。これから起業する、起業しているけど成果が出せていないという場合は、ぜひチェックしておきましょう。
ターゲットの決め方|あなたのお客様はどんな人?
ターゲットとは、誰に向けての文章を書くのか、「誰に」のこと。
ブログやメルマガなどの媒体を使う場合、誰かが読んでくれることを前提として記事を書きますよね?自分が読むための日記や知人だけで楽しむブログなどは別としても、インターネット上で情報発信をする時には、必ず読み手となる読者がいるものです。
そこで、まずは「誰に向けて書くのか?」
つまり、ターゲットを定めることが大切になります。
僕のブログ記事の一例を見てみると
- ひとり起業で情報発信をしているけど売上にならない
- セールスライティング初心者、もっと上手くなりたい
- 書いた文章で商品やサービスの申し込みを増やしたい
- 短時間で売れる文章を書けるようになりたい
このような方を読者として想定しています。
ここまでは勉強をしてきた場合はわかるかと思いますが、僕の場合は「ライティング初心者」という言葉自体が曖昧な状態なので、初心者をより具体的にしていきます。
- セールスライティングに慣れていない(勉強はしているけど経験不足)
- セールスライティングで結果が出ていない(経験はあるけどスキル不足)
本書を書くにあたり、僕はこの2種類のパターンをセールスライティング初心者として定義しています。長いライティング歴があり、知識豊富であっても、結果が出ていない状態であれば、初心者という位置付けになります。
もし、セールスライティング初心者以外をターゲットにするならば、第1章は省略していた可能性があり、テクニック論からお伝えしていたかもしれません。既にセールスライティングで結果を出している人は、事前準備の重要性を嫌というほど経験をしているはずです。
つまり、想定するターゲットによって文章のテーマや構成、言葉の選び方まで変わってくるということです。
ターゲットを決めることによる言葉選びの違いを一例紹介すると次のようになります。
参考例
「AdWordsに出すLPのCVRはヘッドコピーによる影響が大きく、 USPとベネフィットを「PPCの法則」に盛り込むことで、CPA、ROIが半分以下になったケースがあります。」
もし、このような文章でスタートしていたら?正直、専門用語が羅列されている時点で読む気が失せてしまうはずです。そこまで知識のない人なら、自分には関係ないものとして分類されてしまいます。
しかしターゲットが変わり、ライティングや広告の知識、経験がある人が見たら、冒頭から期待値を高めることができ、読もうと前向きになってくれるでしょう。
このように、ターゲットによって言葉の選び方は大きく違ってくるということです。
- 「初心者向け」と言いながら、初心者を置き去りにしている文章
- 「上級者向け」なのに、初歩的な説明や概要ばかり話している文章
実はこのようなコンテンツは多いので、常にターゲットを明確にし、読者を意識しておくことが大切になります。
ここでは、「初心者」を参考例として紹介しましたが、他にも次のような要素でターゲット層を考えることができます。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 年収
- 悩み
- 感情
- 欲求
- 家族構成
- 住まい
- 学歴
- 経験
など
どんな人に向けて書くのか、まずはしっかりと決めておきましょう。
ターゲットを決めるというのは、あなたが起業をした時にどんな人を対象にビジネスをするのかを決めておくことです。ターゲットを決めておくことで下記のようなメリットを得ることができます。
- どんな情報を発信すれば見てもらえるかがわかる
- あなたが提供する商品が見えてくる
- どんな悩みを抱えているのかがわかる
- 成功モデルを見つけやすい
起業をして売上を手にしようと思ったら、お客様にあなたの商品を手にとってもらうことで初めて手にすることができます。その際に提供する商品は、お客様の悩みや問題を解決するモノになっていることで、起業家として大きい収入を手に入れることができるようになります。
そうした売上を作る最初の一歩としてターゲットを決めておくことはとても大切なことなのです。
ターゲットの決め方には2つの軸が存在する
ターゲットを決める時には、2つの視点から考えることができます。
- 自分を軸にして考える
- 商品を軸にして考える
自分を軸にして考える
自分を軸にする時は、下記のように自分を振り返ることから始めます。
- 自分がこれまでに経験してきたことは何か
- 自分がこれまでに成功したと思えることは何か
- 自分で経験してきたことは何か
- これまでの人生で自慢できることは何か
上記のように自分自身に対して情報の洗い出しをすることで、何ができるのか、どんなことを提供できるのかを探すことができます。
そして出した情報から、それはどんな人になら価値として提供することができるのかを考えてターゲット像を作っていきます。
商品を軸にして考える
すでにやりたいことが決まっている、すでに提供したい商品があるという場合は、それらを軸にターゲットを考えていきます。
商品を軸にする場合は下記の項目を洗い出してみましょう。
- どんな悩みを解消するものなのか
- どんな人に使ってもらいたいものなのか
- どうやって悩みを解消するのか
- どのくらいの期間で悩みを解消できるのか
既にやりたいこと、商品がある場合には商品を通じて何を提供できるのかと考えることが大切になります。
物販などのように、形のあるものの場合は違ってきますが、コーチングや小0んサルティングなどのように無形の商品やサービスを提供する場合は、何をするためのものなのか、どんな人に使ってもらいたいのかから逆算をするとターゲット像が見えてきます。
ターゲット設定の具体的な3ステップ
ターゲットを決める時には次の3ステップで考えていきます。
- 自分が勝てる市場を決める
- 市場を細分化する
- No.1になれるところでターゲットを設定する
この3ステップを行なっていくことで、あなたのターゲットを明確にしていくことができます。
【ステップ1】自分が勝てる市場を決める
- 一定数の「有料顧客」が存在する場所
- 自分がビジネスをしている業界
自分の強みを活かしてNo.1のポジションを狙える市場のこと。
ターゲット設定をする際、市場選びを間違えてしまうと、ビジネスで成功することができなくなってしまいます。
なぜなら、自分が勝てる市場でない限り、ビジネスを成功させることが難しくなるからです。
また、ライバルが全く不在の市場も選択してはいけません。ライバルがいないということは、自分の商品・サービスが売れない市場である可能性が高いからです。商品が売れなければ、売上を獲得することができないので、必然的にビジネスを続けることが難しくなります。
もし、すでにビジネス活動している場合は、自分の市場を改めて再確認していきましょう。
これから活動内容を決めていく場合は、市場を選択することが始めてください。
- 自分の強みが活かせる市場
- 興味・情熱が持てる分野
- ライバルが存在する市場
【ステップ2】市場を細分化する
「市場を細分化する」とは、1つの市場の中で同じような欲求・行動を持つ集団をグループ化することです。
ターゲット設定をする上では、欠かすことができない活動になります。このように市場を細分することをマーケティングの用語では、「セグメンテーション」といいます。
1つの市場の中でも、様々な人が存在し、人それぞれニーズ・ウォンツが変化してきます。そのため、1つ市場を同じニーズを持つグループごとに分けて市場を細分化します。細分化したグループに合う商品・サービスを提供する方が、ビジネス成功につながる可能性が高くなるからです。
最終的に細分化された1つ1つの市場は、セグメントといいます。
市場を細分化する基準
市場細分化(=セグメンテーション)するときに重要になるのは、「何を基準に市場を細分化するのか」ということです。
市場を細分化するときの基準となる指標には、様々なものがありますが、ここでは活用しやすい3つ指標をお伝えします。
- 抱えている悩み・問題点
- 職業(個人起業家なら起業年数)
- 年商
<参考例>
- マーケット
→ 集客コンサルタントとして活動中 - セグメント
→集客に悩みを抱えている
→起業して2~4年目
→年商~600万円
市場を細分化するのメリット
市場を細分化していけば、ターゲットに対して「明確なベネフィット」が与えられるようになるからです。
ベネフィットとは、ターゲットが手に入れたいと望んでいる理想の未来のことを指します。
つまり「明確なベネフィット」とは、「自分の商品・サービスを活用することでどんな未来が手に入るのか」をターゲットに対して明確に示す、明確にイメージさせることができるということです。
そして、明確なベネフィットを示すことは、結果として周りのライバル達との差別化にも繋がっていきます。
【ステップ3】No.1になれるところでターゲットを設定する
市場を細分化した後は、細分化された1つ1つの市場(=セグメント)の中から、自分がビジネスをする市場を1つ選択します。選択したターゲットをさらに、自分の「強み」が最も発揮できて、「ライバルを圧倒できる市場」になるまで絞っていきます。ターゲットを絞るときのポイントは、『1人の顧客の1つの悩みを特定する』ことです。
ここまでの流れで解説してきたターゲット設定は「市場」が中心でした。市場を細分化した、1つのセグメントを選択をすることも「市場」が中心の話です。そして、ここからはターゲットとして設定した市場(=選択した1つのセグメント)の中にいる1人の顧客が抱える1つの悩みを特定していきます。
ただし「私の場合、どこまでターゲットを絞ればよいか、わかりません」という悩みが出てくることが多くあります。この悩みに対する答えが、『あなたの「強み」が最も発揮できて「ライバルを圧倒できる市場」になるまでターゲットを絞る』ということです。
マーケティングの教科書やネットの教材には「ライバル不在のブルーオーシャンを見つけましょう」と記載があることが多いですが、個人起業家がブルーオーシャンを見つけることはかなり難しいです。
「儲かる市場」には、必ず「先行者」が存在する
そして、儲かる市場で最初に儲かるためには、膨大な資本金が必要になります。
最低でも1000万円は必要です。
そのため、あまり現実的なビジネス戦略とはいえません。
ブルーオーシャンを探すよりも、「ライバルが存在するが、“ここ”なら勝てる」というところまで、市場を細分化し、ターゲットに絞ることを意識してください。
ライバルが存在することは、ビジネスが不利になるということではありません。
ライバルが存在するということは、市場が存在するということです。
つまり、「お金を払う人」が存在する。だから「ライバル」も存在するということになります。そして、市場の中にライバルが存在していたとしても、自分の強みが最も発揮できるまでターゲットを絞ってしまえば、ライバルを圧倒できます。
ライバルがいたとしても、売上を獲得し続けることができるということです。つまり、最初から自分が勝てる市場でビジネスをするようなものです。市場を細分化して、そこからさらにターゲットを絞るというプロセスを意図的に実施することができれば、起業家として成功することができます。
事実、これまでのクライアントの方の中には「実績ゼロ」「資格ゼロ」「ビジネス経験ゼロ」という状態からスタートして、売上100万~2000万以上を達成された方もいます。
ターゲットを絞り込む時の3つのポイント
ターゲットを絞るときの注意点を踏まえた上で、「何を、見極めて」から「ターゲットを絞っていけばいいのか」を解説していきます。
様々な「ポイントがありますが、ここでお伝えするポイントは3つです。
- ポイント1:「ターゲット」が過去に自分の商品・サービスと同じようなサービスに対して、高額費用を支払った経験が存在する
- ポイント2:「お金を払ったデータ」は存在するのであれば、「いくら払った」のか
- ポイント3:「同じターゲット」を狙っているライバルは存在するのか。そして、そのライバルは「儲かって」いるのか
「ターゲット」が過去に自分の商品・サービスと同じようなサービスに対して、高額費用を支払った経験が存在する
自分のターゲットが、自分が提供する商品・サービスと同じような商品・サービスに対して、お金を払ったことがあるかどうかを調べてください。
<参考例>
・過去に「起業塾」や「コーチング講座」に高額料金を払ったことがある
・「婚活相談所」に登録する時に高額料金を支払ったことがある
・「ダイエット」、「美容」に毎月〇〇万円の投資をしている
もしお金を払った経験がなければ、「なんで、そんなことに、お金を出さなきゃいけないの」という価値観を持っているからです。
そして、人の「価値観」というものは簡単には変えられるものではありません。
「起業実現」「恋愛成就」「コンプレックス解消」などの目的ために、10万・20万・30万円の高額費用を払った事がない方から、「10万以上のコンサルティング料・コーチングセッション料」を頂くのは、難易度が高いということです。
しかし、逆に「起業実現」「恋愛成就」「コンプレックス解消」などの目的ために100万以上投資した事があるという方であれば、「50万」ぐらいの費用であれば抵抗感なくお金を支払ってくれます。
場合によっては「こんなに安くていいんですか」と言われることもあります。
ターゲットが過去に自分と同じような商品・サービスに対して、高額費用を支払った経験があれば、自分の商品・サービスの価格も値上げしやすくなるというメリットも存在します。
「お金を払ったデータ」は存在するのであれば、「いくら払った」のか
ターゲットがライバルに支払ったことがある価格は、自分の商品・サービスに対して支払ってくれる価格の目安になります。
例えば、「毎月1万円払う」ターゲット層もいれば「毎月10万払う」ターゲット層もいます。ターゲットが商品に対して、「どれだけ支払っているか」というデータがあれば、自分の商品・サービスの価格設定も見込みがつきやすくなるからです。
だからこそ、ターゲットが支払ったことがある金額を把握しておくことが重要になります。
「同じターゲット」を狙っているライバルは存在するのか。そして、そのライバルは「儲かって」いるのか
3つ目のポイントは、自分が狙う市場にライバルが存在するかを確認することです。
そして、そのライバルは儲かっているのかを確認します。「ライバルがいる」ということは、「お金を払う人」が存在する市場であるということです。逆に「ライバルが存在しない市場」は、「まったく儲からないから誰も参入しない」もしくは「参入したが、儲からないので撤退した」というケースが多いのです。
だからこそ、ターゲット設定をする段階で、「ライバルが存在すること。そして、ライバルはどれだけ稼いでいるのか」を調査してください。調査した結果、「ライバルは儲かっている。でも自分は勝てる見込みがある」と思えれば大丈夫サインです。
ターゲット設定に成功している起業家は、上記3つのポイントを満たして言います。細分化した市場の中で、ターゲットを絞るときは3つのポイントを強く意識しておきましょう。